北海道のキャンプ場事情とは

北海道のキャンプ場数は日本1?!

北海道にはキャンプ場が何ヶ所あるのでしょうか。水道やトイレなどが整備され「キャンプ場」や「野営場」と名称がついていてキャンプが許可されているところは、市販されるガイドブックによればおよそ350ヶ所(注1)。

道庁などに正式な統計はないとのことですが、この数はおそらく日本一ではないでしょうか。施設は道内の市町村が設置しているところがほとんどで、およそ全体の90%超という割合。

その市町村が指定管理者制度を利用して、一般社団法人や民間の会社が運営管理しているケースが多いようです。一方で、民営のキャンプ場は数えるほどしかありません。

北海道内キャンプ場の概要

350カ所ほどある道内のキャンプ場。その内、クルマを横付けしてオートキャンプができるオートサイトやフリーサイトがある施設は100カ所ほど。オートサイトの利用料金は設備によって異なりますが、1泊1サイト2,000円〜5,000円といったところが標準的。テントを自由に張れるフリーサイトは数百円で利用できるキャンプ場も多くあります。一方、無料の施設も100カ所ほどあります。

かつては、キャンプ場に予約などはなかったようですが、昨今はオートサイトやコテージを中心に事前予約を入れるのが一般的。電話受付が多いですが、徐々にインターネットを使ったオンライン予約ができるところも増えてきました。人気のキャンプ場では、春の予約開始日に、夏休みの週末の予約争奪戦が繰り広げられるところもあるそう。料金の支払いは当日の現金が主流。各種カードや電子マネーに対応している施設はほとんどないようです。

利用にあたって注意したいのは、ゴミとペット。ゴミは「持ち帰り」というところも多く、捨ることが可能なキャンプ場でも、分別方法は市町村によって異なります。キャンプ場に着いたらしっかりと確認してルールに則りましょう。ペットは持ち込みOKなところとNGなところがあります。OKであっても一部区域とか、犬種によってなどの施設があります。事前に相談して利用することをおすすめします。

ロケーションは多種多様

北海道のキャンプ場の立地・ロケーションはさまざまあります。大きく分けて、森林・湖畔・海沿い・丘陵・田園・公園などにキャンプ場があります。北海道はその広さゆえに、道内では大きく「道南(どうなん)」・「道央(どうおう)」・「道北(どうほく)」・「オホーツク」・「道東(どうとう)」と5つのエリアに分けることがあり、そのいずれのエリアにもキャンプ場が点在しています。

立地環境は、まちに近く徒歩で買い物に行けるキャンプ場もありますが、多くは野山の中。公共交通機関のみで行けるところは非常に少なく、多くはクルマが必要になります。

キャンプ場によっては市街地の買物施設から30Km以上離れていることもあり、食料の買い出しはもちろん、クルマのガソリンや燃料にも注意が必要です。また、地方の町村では、日曜日が休みというところも多いので、燃料などは早め早めの補給が安心です。


開設期間の多くはGWごろから10月くらいまで

キャンプ場の開設期間は、4月下旬のゴールデンウィーク(GW)ごろからオープンし、10月の下旬まで、というところが多い印象です。しかし、夏の1ヶ月間のみ開業というところがあったり、通年営業で冬でもテント泊が楽しめるキャンプ場が10数カ所あります。

1年の中でもっとも混み合うのは7月下旬から8月のお盆すぎの間。子どもたちの夏休み期間はどこのキャンプ場もおおにぎわいです。

一方、この時期以外の平日は、予約が取れないということは少なく、静かなキャンプが楽しめます。

北海道の気温の目安

気温に関して、北海道は広いので地域によって大きく異なる場合があるのですが、道央に位置する札幌市を例にとって1年を見てみましょう。

気象庁が発表する平年値でいうと、キャンプシーズンが開幕する4月は日最低気温は3.2℃、日最高気温は11.5℃。街中ではコートやブルゾンがまだ必要なころですが、キャンプフィールドではダウンジャケットが不可欠です。5月は同最低気温8.3℃、最高気温17.3℃。北海道ではGWのころにサクラが咲き、一斉に木々が芽吹き新緑の季節を迎えます。6月は同最低気温12.9℃、最高気温21.5℃となり、かなり快適な季節に。道内は梅雨もなく、さわやかなキャンプができます。6月の下旬は夏至ですので、日の入りは19時13分。感覚的には20時ごろまでは明るい感じです。

最も気温が高くなるのは8月。同最低気温が19.1℃、最高気温は26.4℃。日中の気温が30℃を超える夏日もありますが、長くても1週間。35℃を超える猛暑日はほとんどありません。反対に夜は気温がぐっと下がり、1枚はおるものが必要な日もあります。お盆のころを過ぎれば、季節はすっかり秋模様に。朝晩はひやりと涼しくカラッとした気候になります。9月に入ると大雪山系の2千メートル級の山々では早くも紅葉がはじまり、札幌など都市部では10月中旬が見頃になります。10月の同最低気温は7.5℃、最高気温は16.2℃。ちょうど5月と同じような気温に。早い年では10月に初雪のたよりがあり、11月には木々も落葉し初冬の雰囲気になります。雪がふっては溶けたりを繰り返しながら12月、雪につつまれた本格的な冬がやってきます。

http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=14&block_no=47412


キャンプの楽しみ地元食材

北海道にはおいしいものがいっぱいあります。ホタテやエビといった海鮮ものからジンギスカン、ジャガイモやアスパラなど新鮮な野菜を現地で購入してバーベキューで豪快に焼いて味わいたいもの。

あわせて、近年は各地にクラフトビールができているほか、ワイナリーも40カ所近くがあります。地元食材とのマリアージュを堪能してみてください。移動途中には、個性豊かな寿司店やラーメン・スープカレーのお店があちこちにあり、こちらも人気です。

なお、北海道内には各地に「道の駅」があり、その数約130。その多くに産直コーナーや地元の加工品などが販売されています。地元グルメの買い出し拠点としてもぜひ利用したい施設です。

アクティビティも百花繚乱

ここ10年で、いわゆる体験プログラムというアウトドアアクティビティが人気となり、道内でも定着してきました。「北海道体験.com」という北海道で開催されるアクティビティを紹介しているサイトによれば、常時1,300種類もあるそうです。

川や湖を楽しむ、ラフティング・カヌー・キャニオング・いかだ下り・フィッシング。海を楽しむシーカヤック・シュノーケリング・洞窟クルーズ。森や山を楽しむ、乗馬・ネイチャーウォーク・MTB・エアトリップ。空を楽しむ、パラグライダーにバンジージャンプ(ブリッジスウィング)。食を楽しむ、農場ピクニックに収穫体験。そのほか、バードウォッチングやネイチャーツアーなどが、あちこちで開催されています。

多くのプログラムは、ガイドが案内して2〜3時間で楽しめるようになっています。もちろん、道具などもセットされているので、手ぶらで参加できるものがほとんど。空きがあれば、当日でも可能なプログラムもありますが、多くは事前予約制になっています。キャンプとあわせて楽しみたいアクティビティです。


近年の道内キャンプトレンド

家族づれのファミリーキャンパーが多い中、最近では、独りの時間を楽しむソロ(単独)キャンパーや、女性だけのグループ・女子キャンプも見受けられるようになりました。夏を中心にキャンピングカーで長期滞在するシニア夫婦。バイクで国内最北端を目指すライダーなどが増えます。豪華なキャンプが楽しめるグランピング施設も増えてきて、「手ぶらキャンプ」セットを打ち出し、手軽さをアピールした旅行者向のパッケージサービスもあります。こういった新しいサービスに外国人旅行者の利用も目立つようになってきました。あらゆるアウトドアファン・キャンパーを引きつける、キャンピング天国北海道。ぜひ、いろんな場所で、いろんなシーズンで北海道のキャンプをお楽しみください。

注1 『北海道キャンピングガイド2022』(ギミック社)によれば362カ所が掲載。

関連記事一覧